震災の被害に遭われた方 また被災者のご家人におかれましてはご沈痛のほど拝察申し上げます


 相変わらず落ち着かない日々が続きますが 僕は以前より意識的に日常を組み立てるように生きています 日常というのは一見惰性のようですが 実は様々な人の善意(悪意もあるけど)の上にしか望めないものだと信じています

「関東やばいよ! 早く避難して!」と言ってくれた友人へ

 ありがとうございます 彼女と子供だけでも避難させられたら良いのですが…… いっそのこと国が女子供は四国九州へ なんて強制力を働かせてくれたらいいのに でもなんだか今は 日本中どこにも安全な場所なんてないみたいですね

乙武洋匡@鳩山町文化会館

 もうどのくらい前のことか忘れてしまったけれど 鳩山町文化会館で行われた乙武洋匡さんの講演を拝聴した 鳩山町には彼女の実家がある そもそものきっかけは彼女の母親が所属する和太鼓団体が定期的に行う演奏会で その際に乙武さんの講演をポスターで知り 既に整理券の配布は終了したのだけれど どうにかならないかと少し話題にしてみると 後日彼女の母親が知り合いから一枚譲ってもらったと連絡をくれ行けることになった


 講演のテーマは『子供』で 僕も親であるしという気構えもあるにはあったけれど どちらかとえば乙武さん本人に興味があったから観に行ったようなものだった 会場は満員でほとんどが人の親とその子ばかりだったから 講演は落ち着かない雰囲気の中で始まって 関係者の挨拶が済み乙武さんが壇上に現れるまでは虫のようにざわざわとしていた 彼は背の高い電動車椅子に乗り 開口一番昼食のことについて触れ演説をぶつための入り口を用意すると 教師として子供と関わった自身の経験と考えを流暢に話した 大人と子供の姿 障害という取り扱いと周囲がそれを忘れる一瞬 親と子の不安 それから時折挟まれる聴講者を飽きさせないための冗談 内容に通底したのは「子供を変えるよりまずは大人が」という点だったが 何より印象に残ったのは自己肯定という言葉だった 正しい自己肯定は考えているよりもずっと難しいし それを他者に芽生えさせるなんて 今は途方もないことであるように思える

  • 乙武さんは健やかな強さを持った人でしたが 話を聴いていてその背景に少しだけ触れたような気がしました 本当の大人というのは 子供はもちろんあらゆる人を正しく前向きにすることができるのですね ちょっと得難い才能です

 地下鉄は震災による本数減の影響で地獄の釜のように混んでいて そんな中でひさしぶりにAさんと会ったのは本当に偶然だった Aさんは僕が10代の時に勤めていた仕事先の遠い上司であった人で 直属というわけでもないのに傍を通りがかった際には(広いオフィスだったのだ)ちょっかいを出し合っていた 彼は相変わらず具合の悪そうな唇の色をしていた


「何やってんの 今?」


「SEです C# Java あとPHPなんかも あとインフラですね」


「ふぅん なんか楽しそうだね」


「つまんないですよ Aさんは何をやってるんですか?」


「今は本社の営業だね 熊谷へはもう行ってない」


 二人 池袋駅で降りてエスカレーターを上がるあいだ 彼は「じゃあ名刺渡すからさ 遊び来てよ」と言ってそれを渡した 客先へ出向く予定もなかった僕は当たり前のように私服で当然名刺も持っていなかったから 僕は彼の名刺だけを受け取り 改札を抜けてようやく落ち着いた人波の中で名刺を財布の中へしまった 彼は丸ノ内線に乗って神田へ向かった 副都心線への小綺麗な通路を歩きながら 名刺を財布へしまうという行為がとても失礼なことのように思え ずっとそのことばかりを考えていた

Circadian Eyes / Who We Were

 メールをしたら『日本が今大変な時期だってことは知ってるよ うまくいくと良いね アルバム楽しんでね』と返信が来た 7oiという僕の好きな音楽家赤十字を通してサポートをしてくれていて 日本を知らない人々がこの国を支えてくれようというのに ただ日本だけがその輪に加わっていないような気がしてる