乙武洋匡@鳩山町文化会館

 もうどのくらい前のことか忘れてしまったけれど 鳩山町文化会館で行われた乙武洋匡さんの講演を拝聴した 鳩山町には彼女の実家がある そもそものきっかけは彼女の母親が所属する和太鼓団体が定期的に行う演奏会で その際に乙武さんの講演をポスターで知り 既に整理券の配布は終了したのだけれど どうにかならないかと少し話題にしてみると 後日彼女の母親が知り合いから一枚譲ってもらったと連絡をくれ行けることになった


 講演のテーマは『子供』で 僕も親であるしという気構えもあるにはあったけれど どちらかとえば乙武さん本人に興味があったから観に行ったようなものだった 会場は満員でほとんどが人の親とその子ばかりだったから 講演は落ち着かない雰囲気の中で始まって 関係者の挨拶が済み乙武さんが壇上に現れるまでは虫のようにざわざわとしていた 彼は背の高い電動車椅子に乗り 開口一番昼食のことについて触れ演説をぶつための入り口を用意すると 教師として子供と関わった自身の経験と考えを流暢に話した 大人と子供の姿 障害という取り扱いと周囲がそれを忘れる一瞬 親と子の不安 それから時折挟まれる聴講者を飽きさせないための冗談 内容に通底したのは「子供を変えるよりまずは大人が」という点だったが 何より印象に残ったのは自己肯定という言葉だった 正しい自己肯定は考えているよりもずっと難しいし それを他者に芽生えさせるなんて 今は途方もないことであるように思える

  • 乙武さんは健やかな強さを持った人でしたが 話を聴いていてその背景に少しだけ触れたような気がしました 本当の大人というのは 子供はもちろんあらゆる人を正しく前向きにすることができるのですね ちょっと得難い才能です